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パンドラ小説7~A contractor of raven~

∇∇∇「なかなかいい顔になってきましたネェ」 ブレイクの声にベンチに腰掛けていた人影が顔を上げる。 「やっほー、ギルバート…いや…パンドラ流に鴉と呼ぶべきかな?」 「…おまえは相変わらずだな」 黒い髪に金の瞳。 少しやつれた表情の青年が若干うんざりとした目線をブレイクにむける。 「はっはっはっ。心の清らかな人は年をとらないんですヨー?」 「黙れ。くたばれ。」...

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パンドラ小説8~A contractor of raven~

心拍が荒い。 何故か涙が出そうになる。 俯いた顔を上げないまま踵を反し、走った。 固まってしまった後ろの気配は動く様子はない。 ……あんなことを言うつもりじゃなかった。 走り去りながら考える。 いや、元々何を言うつもりかなんて考えてなかった。 ただ会って、会って……その後は? ……なんにしてもあんなのは、まるで―――「あぁ、そっか…」あれは全部自分に言いたかった事だ。 「最、悪……」...

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パンドラ小説9~A contractor of raven~

「助かりますヨ。君にはもっともっと利用価値がある」 …だとしたら私は尚更酷いことをした。 勝手に重ねて、決め付けてしまった。裏切ったのは私だけなのだ―――。 「―――の準備ですが…素敵な教会跡を見つけたのでそこで――…」 不意にブレイクの声が途切れる。 気になって顔を出して覗くと、彼が額に手を当て苦しげな息を吐いていた。 その顔は酷く蒼白で見ていると不安になる。...

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パンドラ小説10~A contractor of raven~

「……またわけのわからないことを…!」 吐き捨てるように言い彼は歩き出す。 「ま…待って!」 そこでようやく私は本来しなければいけないことを思い出した。 立ち止まって振り向いた彼に駆け寄る。 「さっきは、あの…急に、その……」 何と言って謝ればいいのか解らない。自分が悪かったことだけは解るのに。 「……ごめん、なさい」 結局、それだけ言って俯いた。 「……別にお前の言ったことは間違っていない」...

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パンドラ小説11~A contractor of raven~

「オレはもう…二度と失うわけにはいかないんだ――…」 小さくぽつりと呟いて彼は再び歩き出す。 その言葉はまるで以前にも大切な誰かを守れなかった後悔が含まれているようで―――。 「……わ、私の名前はルネア! ルネア=リリネット!」 彼の想いが果たせるのかどうか――? 見届けようと思った。 それは果たせなかった私の想いでもあるから。「オズ=ベザリウスの救出、私にも手伝わせて!」だから私はそう言った。...

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パンドラ小説12~A contractor of raven~

「君達はどちらも“誰かの為に”という自己満足で動いている」 ……違う。 彼は私とは違うのだ。 そう否定したいが、言葉がでてこない。 「その他人への存在理由の依存はとても危ういことデスヨ」 さっきのも結局はオズ君を助けるためという建前に依存した、自分の過去への罪滅ぼしなんじゃないんデスカ? 目線で問い掛けてくるが応えられない。...

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パンドラ小説13~That light once again~

~あの光をもう一度~――再び、時は流れ数年後。∇∇∇「――鳥の囀り」 ギャァギャアと烏の鳴き声が響く。 「――差し込む陽光」 崩れた落ちた屋根から太陽の光が差し込む。 「いやぁ~ お茶を飲むには最高のシチュエーションですネ」 「……どこがですか?」 確かに廃墟と成り果てたこの古い教会跡でカップを片手に朗々と語る姿は、場合によっては狂ったお茶会の絵画のようで絵になるかもしれない。...

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パンドラ小説14~That light once again~

「君もこっちでアメでも食べないカイ、『若様』?」 「…………結構だ」 不機嫌オーラを平然と無視して話しかけるブレイクに、彼は私とほぼ同じ反応を返す。 「君もルネア君も……そんなに緊張してるとォ……」 包みを剥がしたアメを口元に運び、舐めるのではなくかみ砕いていく。 「……出来ることも失敗しちゃいますヨォ?」 食べ終わったアメの棒をぷぺっと飛ばす。 仕方がないからわざわざ回収しに行った。...

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パンドラ小説15~That light once again~

∇∇∇勢い込んだのはいいものの、ぶっちゃけた話私には特に手伝える事は無い。 「シャロンお嬢様…一つ伺っても宜しいでしょうか?」 同じく隣ですることもなく、ブレイクと彼の作業を眺めていたシャロンに尋ねる。 「……ルネアさん」 シャロンがゆっくりと視線を外し、こちらを向く。 「私常々言っていましたよね?」 笑顔である。なのに恐怖を感じる。...

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パンドラ小説16~That light once again~

「えっと…先程の事なんですが、『若様』とは……?」 ブレイクは彼のことをそう呼んでいた。 普段なら名前か『鴉』というパンドラでの呼び名を使うだろう。 「……そのことでしたら本人から直接お聞きになった方が良ろしいですわ」 少し思案した後、シャロンはそう言ってニッコリと笑う。 「お嬢様ー、やはり道の出現場所はここで間違いなさそうですネェ。後は――」...

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